アールデコのブローチ

昨日アールデコの指輪をご紹介致しましたが、今日はその指輪に合うブローチのご紹介です。

このアールデコのブローチは縦に付けても、横に付けても素敵です。
            
             1930年〜40年頃の作品。 プラチナ ダイアモンド 7.5㎝×2.7㎝
          

ブローチの中央の一番大きなダイアはオールドヨーロピアンカットです。

今回はダイアモンドのカットの事を少しお話しします。

17世紀末になって、ベネチアの研磨職人によって現代のブリリアント・カットに繋がる最初の58の研磨面を持つカット、オールド・マイン・カットが開発されました。現在のブリリアント・カットの原型とも言われます。この時はまだ正方形に近い外形でした。

その後、オールド・マイン・カットから発展し外形が円の形をしたオールド・ヨーロピアン・カットが登場します。研磨面は58と変わりはありませんが、研磨面の形が大きく変わりました。現在のラウンド・ブリリアント・カットに近い形です。外形が円に変わったことで、ダイアモンドの輝きの美しさが一段と増しました。

          オールドマインカット          オールドヨーロピアンカット

                 

オールドヨーロピアンカットは、現在のブリリアンカットの原型と言われるカットですが、ブリリアンカットに比べて上部の平らな部分(テーブル)が小さく、それに続く斜めの部分(クラウン)の面積が広いのが特徴です。
          

現在のブリリアントカットは、ダイアモンドを最大限に利用して、石をできるだけ大きく見せようとしているのに対して、オールドヨーロピアンカットは大きさの割りには小さく見えます。
ガードルの面積が大きいので、ダイナミックな輝きが出るのが、オールドヨーロピアンカットならではの特徴です。
下の写真でオールドヨーロピアンのパビリオンの深さがお分かりになると思いますが、ブリリアント・カットではパビリオン側が浅くなります。  
          

このブローチの周りに使われている小さいダイアモンドのカットは、スイスカットとシングルカットです。小さいダイアモンドには、カット面が少ないこのカット法がよく使われます。

          シングルカット 17面            スイスカット33面
                   

ラウンドブリリアントカットの主流であったヨーロピアンカットが姿を消しつつあるのは少々残念なことに思えます。