昭和の竜宮城  百段階段

昨日以前から気になっていた目黒雅叙園の「百段階段」を見に行ってきました。

「侘び・寂び」の世界とは対極をなす 豪華絢爛で摩訶不思議な空間はまさに「昭和の竜宮城」でした。

百段階段には異空間への入り口というのがぴったりの螺鈿で装飾を施されたエレベーターで
         
エレベータ―の中も豪華です。
         

百段階段(実際には99段)の階段廊下に沿って全部で7つの部屋があります。
一気に登るわけではなく、16段登ったら部屋、さらに16段上に次の部屋と階段でつないだため、このような構造になったそうです。

階段は欅板、天井は秋田杉で、ここにも日本画が描かれていました。各部屋の天井や欄間は、それぞれ異なった作家によって描かれており、昭和初期における美の競演はまさに竜宮城です。

部屋ごとに異なる組子障子の模様も素晴らしかったです。
雅叙園の唯一の木造建築「百段階段」とその階段沿いに作られた7つの座敷棟宴会場の内の4つは、2009年に東京都指定の登録有形文化財(建造物)に登録されています。
         
今回はいけばな展が開催されており百段階段の各間には宗派の異なる生け花が飾られていました。
(撮影禁止の為写真は雅叙園のパンフレットからの物です。)

十畝(じっぽ)の間天井には前室に八面、本間に15面、荒木十畝による四季の花鳥画が描かれた間。
黒漆の螺鈿細工が随所に見られます。
         
漁樵(ぎょしょう)の間
室内は全て純金箔,純金泥、純金砂子で仕上げられ、天井に欄間、床柱の樹齢280年の巨大檜に彫られた「中国の漁樵問答」の一場面彫刻が素晴らしく、7間の中で一番豪華絢爛でした。
         
草丘(そうきゅう)の間
磯辺草丘の四季草花絵が天井、欄間に描かれています。
         
清水(せいすい)の間
格天井の秋田杉には池上秀畝の鳳凰舞鶴。欄間四方に小山大月の金箔押地秋草が描かれています。次の間の天井、欄間は橋本水等画伯の物。
         

星光(せいこう)の間
格天井、欄間いっぱいに板倉星光の四季草花が描かれてます。
         
清方(きよかた)の間
鏑木清方が造った茶室風の室。
         
頂上の間
最上階に位置する一室。天井画は松岡映丘門下の作品。歴史資料室として利用されています。
         

各部屋の日本画や装飾の一つ一つはとても素晴らしい芸術作品です。
ただ隙間なく埋め尽くされている装飾は、全体として日本の美意識からはかけ離れているようにも思えますが、不思議なことに悪趣味にはなっておらず、とても楽しい幸せな気持ちになります。

目黒雅叙園は日本で最初に結婚式の総合プロデュースを始めたことでも知られています。
園内には、扇面や美人画花鳥画などの豪華でおめでたいモチーフが多く、至るところで螺鈿細工や浮き彫り彫刻が見られます。

長い廊下には浮き彫りの日本画
         
滝のある日本庭園
         
滝の後ろは通路になっていて通り抜けができます。
         
雅叙園にはまだまだ見るところが沢山ありそうです。

目黒駅から徒歩3分、時にはこのような空間に迷い込むのも楽しいですね。