いつ聴いても心やすらぐクライスラーの曲

音楽を聴いている時は穏やかな気持ちになれたり、感動が出来たり、幸せな気持ちに満たされて音楽が好きな自分で本当に良かったなといつも感謝します。

でも、どんなに好きなクラシック音楽でも、時と場所により聴きたいと思う曲は異なります。

阪神大震災の時に周囲の被害を見て、心がとても疲れていた時、メンデルスゾーン交響曲
第4番「イタリア」第一楽章を聴くと、元気が出たものです。
音楽は気持ちをコントロールしてくれるものなのですね、

何時聴いてもリラックス出来る音楽はクライスラーです。私の大好きな作曲家の1人でもあります。

クライスラーは人間的にもとても魅力的で、彼に関しては多くの面白い話がありますが、その中の一つ有名な「クライスラーの嘘」のお話。

ヴァイオリニストとしても活躍、作曲家としても多くの魅力的なヴァイオリン曲を作曲したクライスラーですが、彼は自作曲を過去の作曲家の作品として嘘をつき発表していたことでも知られています。

クライスラーが18歳の時、コンサートで「これから演奏する曲は、私がヨーロッパの図書館で見つけた古い時代の作曲家の埋もれた作品です。良い曲だと思ったので、少し手を加えて紹介します」と言って自作の演奏をしました。
なぜそのようなことを言ったのかと言うと、当時無名の作曲家の作品など誰も相手にしてくれなかったからとか、作曲家の名前が全部自分だとつまらないと思われてしまうから、などと言われています。
本当のところは分かりませんが、当時はモーツアルトベートーヴェンブラームスなどの協奏曲の演奏はもっとも傑出した演奏家と評価されていたようです。それで、有名な作曲家の曲として自分の作曲した小曲を弾いたのかもしれません。
クライスラーは小曲を沢山残しています。ピアノではショパンやリストやドビュッシーや等、多くの作曲家達がピアノの小曲を残していますが、当時ヴァイオリンでは小曲は殆どなかったので、誰もが気軽にヴァイオリン音楽を楽しめることを願い、また自身のコンサートのレパートリーの幅を広げることも考え、小曲の作曲に取り組んだと言うのが一番の理由ではなかったかと私は思います。

評論家達はクライスラーの演奏を聴き「新発見の曲は素晴らしいが演奏が未熟」といって若いクライスラーをけなします。いいかげんな評論家達を見て、自身の作曲と言わないほうが良いと思ったのでしょう。

でも聴衆たちはクライスラーの演奏の素晴らしさを認め、ヴァイオリニストとして大活躍するのですす。以来、自らの作曲した曲を過去の大作曲家たちの未発表曲だと偽り、自ら演奏して演奏家として注目を集めました。

その嘘は40年たって見破られました。批評家が「発見されたヨーゼフ・ランナーの未発表曲(実はクライスラー作)はシューベルト作に匹敵する出来だ」と絶賛したことにクライスラーが激怒したためです。クライスラーは心から尊敬するシューベルトと、自分のような者の作品が同等に並び賞されたことが我慢ならなかったのです。

不審に思ったニューヨークタイムズの記者が、ウィーンにいたクライスラーに「もしかしてあなたの作曲では?」と訊ねたところ「君の言う通りだよ」と認めついに40年間の嘘がばれたのです。
と、このような嘘のような事が、本当の「クライスラーの嘘のお話です」

私だったら、こんなに素晴らしい曲をほかの人が作曲したなんて、絶対に言えません。

私の好きなヴァイオリニスト ハイフェッツとは全く違う弾き方ですが、クライスラーのヴィブラートをかけて情感たっぷりに弾く演奏もとても素晴らしいです。

天才ヴァイオリニスト クライスラーハイフェッツの2人は同じ2月2日がお誕生日と言うのも不思議な偶然ですね。
本来ならばお2人の弾き方を比べる動画をアップしたかったのですが・・・・

クライスラー自身が弾く 美しきロスマリン
       

  私の好きな前奏曲アレグロ五嶋みどりさん演奏)