山本作兵衛炭坑画展

博多阪急デパートで開催されている山本作兵衛炭坑画展」を観に行きました。

50年におよぶ炭坑労働者としての経験を記録として書き留めた山本作兵衛氏の絵は、昨年5月
日本初ユネスコ世界記憶遺産に登録されました。
絵には、余白に文章が書きくわえてあり、当時のヤマの過酷な様子が一見で分かります。
作兵衛氏は絵を描くことが好きで、少年期には一時期坑夫をやめて絵描きを志し、福岡市のペンキ屋に弟子入りしたこともあったそうですが、家庭の都合もあって 結局は炭坑で坑夫生活を続けることとなり、日々の生活に追われ絵筆をもつことは無かったそうです。
63歳まで炭坑で働いていた彼は、66歳から子や孫に炭鉱の生活を伝えようと思い 本格的に記録画を描き始め、92歳までに1000点以上の作品を描いたというから驚きです。

山本作兵衛の絵は、田川市の「石炭・歴史博物館」と「伊藤伝右衛門邸」での展示を観に行った事があるのですが、何れも展示の作品数が思ったよりも少なかった為、もっと多くの作品を見たいと思っていたところでした。

今回は原画30点とレプリカ4点が展示されていました。
1 炭鉱の暮らし、2 炭鉱の文化・娯楽、3 坑内の様子と3つに分けて展示されています。
作兵衛氏手作りの小引出 や自宅の井戸で使用していた滑車とバケツ、そして炭坑で使用した
つるはし等も展示されていました。
炭鉱の暮らしでは 浴場の様子、争いの事、文化や娯楽では子供たちのお正月の遊びや、釣り、飴売りのこと等。坑内の様子では、なぜ刺青をしたか そして、当時ヤマで起きた不思議なこと等、たった30枚の絵の中からもいろいろなことが分かります。

世界史的にも意義深い日本の近代化で、重要な役割を果たした筑豊炭田
そのヤマの記録を7歳から炭坑で働いた1人の炭坑夫が、機械の精密な部分、背景の建物や乗り物の様子、人々の衣服からその模様まで、記憶だけを頼りに、正確に細かく記録した偉業に心から敬意をこめて感謝したいと思います。

撮影禁止でしたので、展示されていた絵が載っているパンフレットの絵をご紹介いたします。
(展示されていた絵は全て彩色画でした。)

          

          

          

          

当時のことを書き漏らさないで子供や孫達に伝えたいという熱意がが伝わってきます。
彼の残した全ての絵を是非見てみたいと思いました。

2月28日(火)まで、博多阪急の7階イベントホールで開催されています。
                         

世界記憶遺産にはベートーベン交響曲第9番の自筆譜、アンネ・フランクの日記、マグナ・カルタ(大憲章)、グーテンベルクの聖書、古代ナシ族のトンパ文字(トンバ文字)による文書などが登録されています。