カップの絵柄の物語

散歩の方向を少し変え、薬院駅近くのアンティークのお店「ギャラリー蓮華」に行きました。
オールドノリタケを中心に、名古屋製陶所、オールド香蘭社などの国産アンティーク陶磁製品、
日本のアンティークガラス、オールドバカラボヘミアガラスなどが並べられている素敵なギャラリーです。

          

お花が沢山生けられていて、素敵な香りが漂う店内。
オールドノリタケには独特な華やかさがあります。

          

          

オーナーが色々見せてくださいました。

その中で一寸気になるカップ&ソーサーがありました。
NIKKO(ニッコウ)陶器の製品です。ウィローパターンと言う柄です。

19世紀初頭から東洋の影響を受けて、イギリスではウィローパターン(柳模様)が陶磁器の柄として頻繁に用いられました。
このパターンは18世紀後半に、英国の陶磁器メーカー・ミントンの創始者であるトーマス・ミントンによって創作されたといわれています。
ミントンは陶磁器に転写をする銅板を彫刻する職人でした。それでこの柄は色々な用途の陶器に使われ量産されたのでしょうね。

その後、ウィローパターンはウェッジウッドロイヤルドルトンなど数多くのメーカーによって生産されることとなります。

調べてみるとブランドによって文様が少しずつ違います。面白いですね。

何故か気になる絵柄と思っていたのですが、昔、このパターンの角皿が家にあったような記憶が蘇ってきました。

ウィローパターンには、青、赤、黒、緑などいろいろな色のものがあり、そして色々な用途の陶器に使われています。

             

          
「蓮華」で見せて頂いたNikko(ニッコウ)陶器の製品は輸出用だったものです。磁器に比べたら柔い硬質陶器で出来ているカップ&ソーサー。綺麗な錦手です。

この絵柄には悲恋のストーリーがあります。 
          
                                                      
その物語とは
大金持ちだった中国人の美しい娘コンセーとその家の秘書だったチャンとの許されぬ恋。それを知ったコンセーの父親が裕福な侯爵のフィアンセを連れて仲を引き裂こうとします。
それが橋の上の3人の人の模様です。純潔の証の糸巻棒を持って逃げるコンセー。その後を宝石箱を持っているチャン。後から鞭を持って追いかける父親。
二人は逃げ切り幸せに暮らしていくのですがチャンが文筆で有名になりその名声をききつけフィアンセの兵に殺されます。そして後を追って命を絶ってしまうコンセー・・

やがて図柄にもある永遠の幸せの証、二匹の鳩となり空へ旅立ちます。

「ギャラリー蓮華」で見せて頂いたこのお皿の鳥、家に帰って写真を拡大したら眉毛?がありました。やはりコーセーとチャンの生まれ変わりなのですね。
                    
100年前のロイヤル・ドルトンには、美しい切れ長の眉があるようです。時代と共に鳥の眉毛が変わっていくようです。

古い食器を眺めていて時がたつのを忘れてしまうのはこんな面白い見どころがあるからなのです。

このパターンには 鳥にくっきり書かれた眉があったり、無いものもあったり、太っている鳥もいたり、それどころか鳥のいないものまであります。

          
                    
この様なストーリーのあるカップでお茶を頂くって素敵ですね。