古い伊万里のお鉢

昨日ご紹介した大鉢は牡丹唐草文でしたが、今日ご紹介するお鉢は花唐草文です。

花唐草文の簡単な変遷としては、
宝相華唐草文 → 牡丹唐草文 → 花唐草文(菊花風) → みじん唐草文です。
牡丹唐草文の中には菊花風の花唐草へ変化するものの他に、牡丹の花を残したまま独自の発展を
遂げたものも見られます。

                        昨日ご紹介した牡丹唐草
          

                          今回の花唐草
          

                           みじん唐草
          

染付花唐草文鉢    径24、5㎝   高さ9㎝

肉じゃが等普段の家庭料理でも、このお鉢に入れてお出しすれば、おもてなし料理になります。

お料理をしなくても、大き目のお鉢は、果物を入れて置いておくだけでテーブルを楽しくすることが出来るので便利です。

          

          
外は優しい藍色で繊細に書かれていますが、中はやや濃いめの呉須できりっと書かれています。
このコントラスト、当時の人の感性は素晴らしいですね。

呉須(ごす)とは
陶磁器に用いる藍色の顔料の一種。焼成により釉(うわぐすり)と溶けて青い色を出す。呉須で下絵を書き釉をかけた磁器を,日本では染付,中国では青花とよぶ。天然には黒色,土状の呉須土(鉱物名アスボライト)として産出する。呉須土の主成分は酸化コバルトで,鉄,マンガンなどの酸化物が不純物として含まれ,これらが多いと釉の色が青紫色から,くすんだ色になる。

           

裏を見ると富貴長春と銘が入っています。
江戸中期の代表的な裏銘で、1700年頃に現れ1770年代が中心の銘です。でもこれが描いてあれば時代がわかると言う訳ではありません。中国磁器の憧れなのか・・・?   江戸時代全般に用いられた銘です。
富貴長春・・・富貴花とは百花の王(牡丹)を、長春花は季節を問わず咲く花(薔薇)のこと、おめでたい言葉です。 
          

           
      

年代を推測するには、一般的に次の方法があると言われています。
1、藍の色を見る
2、生地の色を見る
3、絵柄を見る
4、裏柄、底、高台、銘を見る

上の4つから推測しても、私には正確な年代は分かりません。大雑把ですが、
このお鉢は江戸時代後期の物です。