コスチュームジュエリー

お天気が良くない日は物の整理。

家の中には細々とした物が沢山あります。
今回ご紹介するコスチュームジュエリーもその一つ。処分するだけでなく、訳のわかりにくいものに説明を付けて置くのも物の整理だと最近思うようになりました。

ファインジュエリーは宝石と呼ばれる天然石や、貴金属を使っているジュエリーです。一般的にジュエリーと言うとファインジュエリーの事を思い浮かべますね。

コスチュームジュエリーとは貴金属と宝石以外から作られたジュエリーのことです。
(コスチュームジュエリーという単語はファインジュエリーと区別するために20世紀になって生まれた単語です。)

人造石や人造パールを使って作られたジュエリーは古くは18世紀ごろから作られています。

1920年から60年代までに作られたいわゆるヴィンテージと呼ばれるコスチュームジュエリーの作品の中には、魅力的な物も多く、今では作る事の出来ない貴重な存在のものもあります。

私が持っているものの中でお気に入りはハスケルとトリファリのヴィンテージのコスチュームジュエリーです。

「ミリアムハスケル」は、ニューヨークで1924年に、ショップを開店。素晴らしいデザイン性と、抜群の表現力、留め具にまでパール使いを施すなど、細部にまでこだわったジュエリーを作りました。接着剤など用いず、ワイヤーで繋げ、ジョイントにビーズを使ったりととても丁寧な細工です。日本では、フェイクのパール使いが有名ですが、さまざまな素材を使い、意匠性に富み、ミリアムハスケルのコステュームジュエリーは、「宝石よりも美しい」とまで絶賛されました。
                            ハスケル
          

トリファリは1900年代初頭に設立されました。1930年台に入りカルティエやヴァンクリフのデザイナーであったフランス人アルフレッド・フィリップ氏をデザイナーに迎え、アメリカで最も成功したコスチュームジュエリーメーカーになりました。
トリファリの作品はとても作りがよくデザインも豊富で、つけやすいジュエリーです。ブロードウェイやハリウッド映画界などからの特注品製造も多く作っていました。 1950年代アイゼンハワー大統領夫人が数多くのジュエリー依頼したことでも知られています。

                          トリファリ
          

 コスチュームジュエリーの歴史

本物のジュエリーの模造品を使ってのアクセサリーは18世紀も作られていました。王侯貴族は職人達に作らせ、目新しさと、その華麗なデザインに惹かれて競って着用しました。(正確にはこの頃の模造品のジュエリーはコスチュームジュエリーとは言いません。)

コスチュームジュエリーという単語はファインジュエリー(本物の宝石を使ったアクセサリー)と区別するために20世紀になって生まれた単語です。

1920年代頃、アメリカやイギリスで女性が参政権を勝ち取るようになると、女性たちの生活はあらゆる面で開放され、ファッションも、体のラインをだすドレスやミニスカートに徐々に変化していくようになりました。ジュエリーもファッションに合わせ変化していきます。

時代の流れにのって、ファッションとコスチュームジュエリー界に劇的な変化をもたらしたのは、ココシャネルとエルザスキャパレリの2人です。

1927年にシャネルが大きなフェイクの真珠やガラスを使ったコスチュームジュエリーを発表します。
それまでの宝石としてのジュエリーの価値より、デザインの美しさ、愛らしさ、意匠性、身に着けた人のファッションにあうかどうかを重視したジュエリーだったです。

スキャッパレリも1927年にメゾンをひらき、1928年にはショップをオープン、次々とコスチュームジュエリーを発表します。

1929年のニューヨークの株の大暴落で世界的に大不況の時代、ぜいたく品にかかる増税でジュエリーは手に入りにくくなりましたが、コスチュームジュエリーは宝石の代用品としか見なされておらず安価でした。そのこともコスチュームジュエリーの発展に拍車をかけました。

1930年代頃から、ゴールドやダイヤなどの高価な素材からガラス、合金真珠を使ったコスチュームジュエリーが大量に作られるようになります。

このコスチュームジュエリーを世にひろめたのがハリウッド女優たちでした。きらびやかなコスチュームジュエリーを身につけたハリウッド女優は、不況で映画館にいることが多くなったアメリカの女性たちをたちまち魅了したのです。

このような歴史を見ると、大不況の時代でも、女性のおしゃれに対する気持ちは決して失われないのですね。

そうそう、ジャクリーヌ・ケネデイ・オナシス夫人もコスチュームジュエリー好きだったことは有名 です。