ラオスの旅   ルアンパバーン   王宮博物館  ワットマイ  ワット・シェントーン  

9日目 10日目

街全体が世界遺産の「ルアンパバーン」は ラオスの伝統とヨーロッパの建築様式を絶妙にミックスさせたモダンな建物が並ぶ、静かで 雰囲気のある素敵な街です。
この街とも ラオスとももうすぐお別れ。
       
昼食の後向かったのは王宮博物館。
王宮博物館
1909年、シーサワンウォン王の宮殿として建立され、1930年代に改装。王制が廃止され、その後1976年から博物館になっています。
ルアンパバーンの1日の様子が描かれた王の接見の間や書斎、食堂などがあります。
       
今回の旅行では 旅行社の特別企画で、ラオス世界遺産修復プロジェクトを行っている身延山大学
柳本伊左雄教授のお話を伺うことが出来ました。

2001年9月、身延山大学ラオス文化情報省との間にルアンパバ−ン内の仏像修復に関する調印が交わされ、現在までに及ぶプロジェクトが始動したそうです。

仏像修復プロジェクトの工房は、ルアンパバーン王宮博物館の敷地内にありました。
小さな工房は 木材加工室 修復作業室 記録作業室 の3部屋にガラス張りで分かれています。

修復中の仏像を前に柳本先生から、ラオスの仏像の特徴、修復の方法、修復に伴う問題点など詳しく伺うことが出来ました。

ラオスには修復と言う概念がなく、初めはラオス政府からの寺院や仏像に関する情報はゼロで、仏像のナンバリングや採寸、材料が何かなどを調査するところから始められたそうです。
       

       
以前ルアンパバ−ン地区内の寺院では、破損が進んだ仏像は須弥壇から降ろされ、人目に付かない場所に陳列されていたそうです。歴史的価値のある木彫仏像も多数ありましたが、その価値を見出されずに埃をかぶり、風雨に晒され多大なダメージを受けていました。そのような仏像の修復・復元を行い、制作当初の姿を取り戻し、尚且つ寺院の景観を崩さない古色彩色を施す気の遠くなるような作業を工房では行なってきました。

修復の材料も既に手に入れることが出来なかったり、資料がなかったりと、今でも多くの困難を抱えています。
又寺院に安置されている仏像の中には、寄進した由来や年代、王族の名前等が明記されているものも存在するそうですが、それらを読み解き、年代別に仏像の特徴が分類化されれば、修復作業において重要な基準になるため、解読作業を進めているそうです。
       
修復工房では身延山大学を卒業して修復にあたっている方が、ラオス人に指導しながら修復をしていました。
修復しなくてはいけない仏像が膨大な数の為、将来、ラオス単独でも修復を行えるための人材を育成しなくてはならず、ビエンチャン国立美術工芸大学の教員を対象に技術指導を行い、修復技術の習得を目指した人材育成も同時に行っているそうです。
この様に苦労して修復しても、仏像の盗難被害がとても多いと嘆いていらっしゃいました。
仏像保全や各寺院のセキュリティーの問題の見直しの必要性も先生はお話なさいました。

物価も高騰、以前と同じ資金の枠しかなく、その事でも御苦労されています。

現地で修復に携わっている鈴木さんに伺うと、ラオスに住み、他の仕事で生活費を稼ぎながら この修復に携わっているそうです。

素晴らしい文化を守るため、真摯な姿でご尽力を惜しまない柳本先生やプロジェクトチームの方の姿に とても感動しました。

工房を出てからも、私たちの廻る場所で実際の仏像を前に先生は説明して下さいました。

ワット・マイ
正式名称は「ワット・マイ・スワンナプーム・アハーン」で美しい黄金の国土の新しい寺院」という意味です。
五重に折り重なる屋根はルアンパバーン様式です。
1778年から70年かけて建立されました。本堂正面の壁画には、ラーマヤナの伝説を描いた黄金のレリーフがあります。
       

       
ワット・シェントーン
1560年に建立された王家ゆかりの寺院。ラーンサーン王国のセタティラート王が王家の菩提寺として、また、メコン川とナムカーン川の合流点に住む2匹の蛇神を祀るために建てたと伝えられます。
王朝が存在した1975年までは、即位式など王族の神聖な儀式に使用されました。憲法を制定し、ラオス立憲君主国としたシーサワンウォン王が生まれた場所でもあります。
本堂の屋根は三重のルアパバーン様式。壁には生命の木(菩提樹)のモザイクが描かれています。
       

       

       
境内には1962年に建てられた黄金色の堂があり、シーサワーンウォング王(在位1904-1954年)の遺体をのせた葬儀用の御車が納められています。御車の先頭に高名な彫刻家ティタンの手によって竜の彫刻が施されています。また、御車堂の正面外壁には古代インドの叙事詩ラーマーヤナ」物語の場面が描写されており、その表面は黄金色で彩られています。
       

       
ラオスでの生活を鈴木さんに伺ったところ、最近ルアンパバーンの土地が値上がりし、地元の人が外国人に土地を売ってしまう事も起きている。托鉢など仏教と結びついた地域のコミュニティーが崩れてしまう事が心配だと話された事がとても印象に残っています。


いよいよラオスともお別れ。
19時35分発のベトナム航空に乗り、ハノイで乗り継帰国の途へ。

成田には翌朝着きます。

今回のラオスの旅は期待を大幅に上回る旅になりました。メコン川からの恵み、美しさ。
滝の素晴らしさは想像以上。
又現地に行って見ないと実感できない、クラスター爆弾枯葉剤の被害も知ることが出来ました。

ユーラシア旅行社の企画は素晴らしく、パンフレットに記載されていない場所も廻り、
今回象乗り体験はオプションかと思っていたのですが全て料金に含まれていました。

森田添乗員さんはきめ細やかな対応で、旅の日記もとても丁寧に書いて下さいました。
又以前ユーラシア旅行社のブータンの旅に参加した時と同じように、感動を頂ける特別企画が
今回もあり、思い出深い旅になりました。

参加人数も13名と程よく、長い移動中添乗員さんからの差し入れだけではなく、常にお菓子が廻って来たり嬉しい触れ合いがありました。

ガイドのティアイさんは日本語がとても上手で、いろいろな質問にも即答してくださいました。長い移動が何回もありましたが、ガタガタ道や怖い崖道を無事私達を運んでくださったドライバーさんにも感謝します。

      ユーラシア旅行社  ラオス大周遊10日間の旅 2016年2月24日から3月4日