バルカン半島の旅  セルビア ノヴィ・サド 前編

2日目   セルビア  ノヴィ・サド ペトロヴァラディン要塞
昨夜成田を出発 機内泊で、べオグラートの空港に着いて早速観光が始まります。

セルビア共和国 首都ベオグラート
セルビアは旧ユーゴスラビア連邦の解体の過程で、政治の枠組みとして最後まで母体として存在した国家です。アルバ人が多い南部のコソボは、2008年に独立を宣言するも、セルビアは否認していて、コソボ地区はこれを否認して、コソボ自治州としています。民族構成は旧ユーゴの内戦で難民として母国に戻った経緯からセルビア人が83%です。ギリシャ正教とも言われるキリスト教派に属するセルビア正教会の信者が大半です。

向うのはベオグラートから北へバスで約1時間30分。セルビア第二の都市ノヴィ・サド
ノヴィ・サドドナウ川沿いにあり、ベオグラートに次ぐ第二の都市です。セルビア語で「新しい入植地」を意味します。街はドナウ川の両岸からなりますが、古くは要塞機能が重視され、右岸に市街地を形成。左岸の市街地の築造は1694年にされました、この頃にはハプスブルク帝国の支配が始まり,正教会の住民は右岸に住むことを禁止され、多くのセルビア人が左岸に移ったそうです。
1748年ハプスブルク帝国から自由都市の地位を与えられて発展しました。
セルビア人が最も多い街で政治、経済、文化の拠点となりましたが、1949年ハンガリーの侵功を受け街が破壊され、多くのセルビア人が去って行きました。この国がセルビア人の国に属するのは、第一次世界大戦終結した1918年でした。

バスはノヴィ・サドの市街地に入りました。
        

        
ドナウ川を渡り要塞のある右岸に行きます。
        

        
ペトロヴァラディン要塞ペトロヴィアラディン要塞はドナウ川を挟んで旧市街の右岸側にあります。ケトル人が置いた砦に、紀元前1世紀にローマ帝国が大規模な要塞を築きました。
その後 民族大移動の時代の混乱を経て、12世紀にハンガリー、15世紀にオスマン、1716年オーストリア帝国支配下にはいります。ペトロヴァラディンは、1716年にプリンツ・オイゲンがオスマン帝国の軍を打ち破ったペーターヴァルダインの戦いで、主戦場となった場所です。その後もオーストラリア帝国が防御の為に増改築をし、現在の要塞はマリア・テレジアの時代の1780年に造営されたものです。
ヨーロッパで広がった1848年革命の混乱中、オーストリア帝国からの離脱を狙っていたハンガリーが、1849年に一時この要塞を奪い、要塞包囲戦に出たオーストリアに対抗するため、ノヴィ・サドの街を襲撃、旧市街の半分が損壊しました。歴史的にはこの要塞が果たしてきた軍事的役割はこれが最後となりました。
近代に入り、地上で陣地を取り合うという旧タイプの戦争が終焉を迎えると、要塞もその使命を終えますが、他の要塞もそうであったように、ここペトロヴァラディンもしばらくは監獄として利用され、政治犯などが留置されていました。現在のように、公園として一般市民に開放されたのは、第2次世界大戦後のこと。今ではすっかり市民の憩いの場になっています。

ペトロヴァラディン要塞は「ヨーロッパ」で「ヴェルダンの要塞(フランス)」に次いで「2番目」に大きな稜堡式(星形)の要塞です。
トンネル跡
駐車場辺りに鉄道駅があり、要塞の下に380mの鉄道のトンネルがあり、ドナウ川に鉄橋が架かっていたそうです。 鉄道は第二次世界大戦でドイツ軍により破壊され、現在このトンネル跡と鉄道の橋桁跡が残っています。
        
二番目の門
        
三番目の門
        
要塞の地下には4層のトンネル、16Kmが造られていて、軍隊が城塞を守っていたそうです。地下トンネルから敵を攻撃するために、城壁の下部に15cm程の銃眼が造られています。
        
四番目の門
        
鹿のある門が見えます。1917年に作られた鹿のモニュメントで、戦う鹿は強さを象徴しているとのこと。
        
四番目の門を入るとノヴィ・サド博物館があります。
        
黄色い建物はハプスブルグの象徴で武器庫でした。 現在は市立美術館として使われています。
        
レストラン
        
展望台にある白い時計塔は、ノヴィ・サドのシンボルになっています。ドナウ川を航行する船に時刻を知らせるために設置されました。長い針と短い針が、さかさまになっていて、短い針が分を刻み、長い針が時間を刻んでいます。世界にも類のない時計です。

ただ今の時刻は11時18分です。
        
展望台からはドナウ川と、対岸のノヴィ・サドの町を眺めることができます。
        

        

        
要塞のふもとには旧市街が広がっています。