赤玉瓔珞文7寸皿

我が家に溢れている食器類。最近は家に人をお招きすることもなく、ほんの少しの食器だけで
日常生活は事足ります。さて この溢れる食器をどうするべきか?

アメリカに住む娘にEMSを送る時 ときどき隙間に少しずつ食器を入れていますが、好みがあるものですので 迷惑しているかもしれません。しかも少し年代のある食器類は文様も現代ではあまり見かけない物があります。せめて いつの物なのか書いて置いてと言われます。

そこで今度送ろうと思っている7寸皿の説明。

このお皿の形は輪花(りんか)です。
輪花とは、縁に規則的な花弁のような切込みを入れた形状の物。これに似たものに稜花がありますが、違いは、稜花の花弁に尖った装飾があるのに対し、輪花には尖った部分がない もしくは尖った部分が非常に小さいのが特徴です。
        

文様は赤玉瓔珞文
お皿には、赤でネックレスのような点線が描かれています。これは「瓔珞(ようらく)」と呼ばれる文様です。
瓔珞はもともとインドの上流階級の人々が身につけたもので、珠玉や貴金属を編んで頭や首や胸にかける装身具です。これがのちに菩薩像などの身を飾るものとして用いられ、寺院内でも天蓋の装飾に用いられました。(ちなみに悟りをひらいた段階の仏像はこの飾りつけはありません。)

赤い丸は、通称「赤玉」と呼ばれる、赤絵の瓔珞紋に添えられる定番のパターンです。

時代は?
裏には「奇玉宝鼎之珍」の銘があります。
        
「奇玉宝鼎之珍」は清朝磁器に使われたことがある銘で、日本では江戸時代、上手の伊万里にも使われました。18世紀だけに見られる銘なのですが、もっとも多く使われたのは大聖寺伊万里という焼き物とも言われています。

大聖寺伊万里伊万里と言いながらも、九谷焼の一種で、明治から昭和初期にかけて石川県で制作されたやきものです。九谷焼は古九谷写しが有名ですが、古九谷写し以上に伊万里の染錦で人気があった柄を多く写しています。時代的には明治の後半から昭和の初期の新しいものです。

おそらくこのお皿は18世紀の伊万里ではなく、明治時代につくられた大聖寺伊万里かと思われます。家には10枚揃いでありますが実際に10枚一度に使ったことは有りません。
華やかですが決して華美すぎず、品が良く愛らしいお皿です。