日曜日の楽しみ

もう10年以上になると思いますが、日曜日の21時からNHKで放送される「N饗アワー」を見るのが私の楽しみの一つです。

次の週に放送される曲をあらかじめ調べておいて、取り上げられる曲を1週間かけ演奏家、指揮者、オーケストラを変え聴き比べたり、取り上げられる曲の作曲家に関する本を読みます。
自分の好みだけではなく、N饗アワーに合わせ調べていくことにより、今まで馴染みのなっかた作曲家や、あまり興味のなかった作曲家の作品のことも知ることが出来ると同時にそれがきっかけで、好きになる曲もあります。10年続けると、少しではあるけれど、一つ一つの知識の点が線になり面になり、その作曲家、生きた時代、曲が生み出された背景等が生き生きと見えてくるようになるから面白いです。

今日のN饗アワーはマーラー交響曲第8番です。

この8番はマーラーの作品の中で最大規模であり、自他ともに認める最高の作品です。
マーラー自身はそう呼ばれることは嫌っていたようですが、演奏規模の膨大さから「千人の交響曲」の名で知られています。規模が大きい為にあまり演奏機会がないので今夜の「N饗アワー」を朝から楽しみにしています。

以前、曲だけを聞いて音楽を楽しんでいた時には、マーラーは偉大な作曲家と言うイメージしかありませんでした。
でも、彼に関する本を読むと若くて美しい自由奔放な妻に翻弄されていた一面を見ることも、またユダヤ人であった彼の苦悩、妹の娘[ヴァイオリニスト]がアウシュビッツで亡くなった(病死)と言う事など、生い立ちや背景等もわかり、彼に対するイメージも変わってきました。

図書館でCDや本は借りられますので、これはどなたにでもお薦めできる趣味です。

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さて、昨日のニューヨークフィルのマーラーの「交響曲第9番」演奏の途中で携帯の音が鳴った件ですが
携帯の持ち主の男性は後悔の念で2日間眠れなかったといいます。 大のクラシック好きという60〜70歳前後の男性は、二つの会社を経営するビジネスマンだったそうです。使い始めたばかりの
iPhoneをマナーモードに設定していたが、演奏中に目覚まし時計機能のアラーム音が鳴り始めてしまったそうです。

マーラー交響曲9番という曲は、ニューヨークフィルにとっても、ニューヨークの人々にとっても特別なものがあります。晩年のマーラーユダヤ人への差別の少ないアメリカでニューヨークフィルの指揮者であった時期に、またニューヨークの街に触発されて書かれた彼の最後の交響曲なのです。マーラーの集大成とも言える傑作である故に、名だたる指揮者もこの曲を振る時はそれ相応の覚悟を必要とするそうです。

携帯の音がなった時指揮をしていたギルバート氏が、今最も力を入れている曲でもあるのです。

もしかしたら、携帯電話の持ち主はアメリカで成功したユダヤ系の人だったのではないか、そうだったら なおさら後悔と悲しさでやりきれないのではないか、妄想癖が頭をもたげ?私は色々な人種が頑張って生きている演奏会場のマンハッタンの街の景色を眼に浮かべながら、打ちひしがれている初老の紳士の姿と、会場に居合わせた様々な人の思いを想像しています。
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そういえば昨年日本で公開された映画「マーラー 君に捧げるアダージョ」を見逃してしまったので、早速DVDを借りてこようと思います。