エジプト熱気球事故

エジプトで熱気球が墜落して日本人4人を含む19人が死亡したニュースが報じられています。

熱気球の事故があったエジプト南部ルクソールは、首都カイロから南に約600キロ離れたナイル川沿岸の観光都市。古代エジプトの都テーベがあった場所で、ツタンカーメン王の墓がある王家の谷やルクソール神殿、ハトシェプスト女王葬祭殿など大規模建築物の遺跡が数多く残されています。気球ツアーはこれら広大な遺跡群を上空から一望できるためとても人気があります。

2008年1月にエジプトに行った時に、ルクソールで私は初めて熱気球に乗りました。

今回の事故でも21人が乗っていたようですが、一機の熱気球に想像以上に多く人が乗ることにまず驚きました。
           飛行が終わり、球皮(エンベロープ)を外したところ。
        この熱気球は立って乗る為、バスケットも深く、乗り降りは結構大変。
        

熱気球はバーナーからの熱の調整による上昇、下降のみ可能であり、風のほかに飛行船のような自力の推進力は持っていません。上空の風の流れは何層にもなっているので、熱気球は それを使って行きたい方向の風を探して高度を調整して動くそうです。

聞こえるのは、時折焚かれるバーナーの “ゴォーッ” という音だけです。それ以外はまったく無音の世界。異次元の空間をゆっくり浮遊している感じです。

風任せなところがある熱気球の着地点までジープが追いかけてきます。
出発地点に乗客を乗せて帰るためです。
        

高所恐怖症の私ですが、熱気球の乗り心地と、眼下に広がる王家の谷の光景は今まで体験した事のない素晴らしいものでした。この体験から熱気球を勧めたことのある私は今回の事故を知りぞっとしました。

今回の事故はとても残念です。
        

熱気球の操縦士経験がある日本の専門家が「ボンベのバルブを閉めて火の拡大を防ぎ、気球の空気を抜いて着陸操作に入るのが常識」「飛び降りると気球が軽くなって上昇し、残された人が助かる道がなくなる」とテレビで話しておられましたが、このようなお話を伺うと、火がついたからと言っても操縦士が一番先に飛び降りる等と言う事は無責任。責任ある行動があれば、最悪の事態が少しでも免れたのではないかと非常に残念です。

空中では逃げ場がなくどんなにか恐ろしかった事かと思うと、何とも言えない気持ちになります。