コーカサスの旅  グルジア   

2013年5月18日  9日目 後編

コーカサスの旅もあと少しで終わりです。

午後からは、マルコポーロが「絵に書いたように美しい」とたとえたトビリシ市内の観光です。

トビリシは紀元前4000年ごろの居住跡が確認されています。すでに4世紀のペルシア史料に、この地域に集落があったことが記されています。ナリカラ砦はこの頃に造られたものです。その後、5世紀に古代カルトリ王国の王ワフタング・ゴルガサリ(ワフタング1世)がここに町をつくり、王の死後、息子のダチが遺訓に従い、6世紀の初めにムツヘタから遷都しました。

ワフタング・ゴルガサリ王がこの地を発見したのには、有名な言い伝えが残っています。王が狩に出かけ、鷹を飛ばした折、雉を追いかけて飛んでいった鷹が雉も行方不明となってしまいました。従者たちが探し回ると鷹も雉も温泉の中に落ちていたのです。こうして温泉を発見したワフタング・ゴルガサリは温泉をとても気に入り、この地に町を作るように命じました。グルジア語の古語で"Tpili"とは「暖かい」という意味で、それがトビリシの語源です。

メヒテ教会
旧市街のムトゥクヴァリ川沿いにある丘の上の教会はシルクロードを往還するキャラバンが、安全を求めて逃げ込む要塞の役目も果たしていました。1235年のモンゴルの侵略によって破壊され、1289年デメテル2世によって再建。その後もオスマン帝国、サファヴィー王朝によって破壊されては再建されています。帝政ロシア時代には監獄として使用され、革命運動で検挙されたゴーリキーもここに幽閉されました。また、ソヴィエト後期には劇場として使用されていましたが、1991年から再び教会として使用されています。
          

教会の横には1958年にトビリシ遷都1500年の記念に立てられた騎乗姿のゴルサゴリ像があります。
          

ここからは 街が一望できます。西側の対岸にはソロラキの丘が見え、その上グルジアの母の像も見えました。
          

青い空に浮かぶ ムタツミンダ山頂に向かうケーブルカーが街の美しさを増しています。
          

メヒテ教会の見学を終え、カフェー等がある道を進んで行くと面白い銅像がありました。

宴会部長?タマダさん
ガイドのタムナさんの説明によれば、この像はタマダと言い、宴席の際の仕切りやをする役目を持った いわゆる宴会部長さんのような人らしいのです。手に持っているのは杯 。
紀元前7世紀のグルジアの遺跡から出てきた「ワインを飲む人(タマダ)」をコピーしたものだそうです。さすがワインの国ならではですね。
          

シナゴーグ
赤煉瓦の教会はシナゴークです・
トビリシユダヤ教信者は2パーセントとあまり多くは有りませんが、クラ川沿いに少し歩いたところにユダヤ教徒の礼拝所であるシナゴークがあります。グルジア南部のアハルツィヘから移住したユダヤ人によって百年ほど前に造られたものです。 市内に2つあり、このシナゴーグは大きい方です。
1970年代までは10万人のユダヤ人が住んでいましたが、現在は1000人ほどだそうです。
ソ連邦崩壊の1991年ごろ、ほとんどの人がイスラエルへ移住しました。 
          

途中、カフェーが続くシャルデニ通りを通り、200年以上続くというパン屋さんに向かいます。
          

200年続くパン屋さん
路上に古い車両が置いてあります。かつては走っていたのでしょう。街の雰囲気に合っています。
現在はお店として使われていたり、結婚式などで新郎新婦を乗せて馬で引く馬車として使われているそうです。

そのすぐ近くに200年続くパン屋さんがあります。
写真手前端がパン屋さんの入り口です。↓     地下に降りていくと良い香りが漂います。
                    

煉瓦造りの歴史を感じさせる店内では大きなお釜でパンを焼いています。
          

タムナさんがパンを購入して、皆に少しずつ分けて下さいました。「お母さんのパン」という意味の「デダスプリ」というシンプルなパンです。ナンを厚く大きくしたような形のパンは日本円で約30円ほど、お安い!。老舗のパン屋さんのパンはとても美味しかったです!
                        
シオニ大聖堂
次に案内されたのはパン屋さんから歩いてすぐのシオニ教会です。
現在グルジア正教の総本山となっている教会で、創建は6世紀にさかのぼります。
現在の建物は、13世紀頃に建てられたものです。
大聖堂とはいうものの、思ったよりこぢんまりしていましたが、荘厳な雰囲気の漂う教会でした。

シオニ教会「7世紀」の名前はエルサレムのシオン山に由来するそうです。

今回 内部の見学はしませんでしたが、4世紀にキリスト教を普及された若い女性聖ニノの髪の毛とぶどうの茎で編んだ十字架が飾られているそうです。2本のブドウの枝を彼女自身の髪で束ね作った十字架ですが、本物は教会内に保管され、飾られているのはそのコピーとされています。
          

ワインのお店
今から5.000年以上前、コーカサスの山から湧き出たミネラルウォーターで育った世界最古のブドウの原種からグルジアワインが生まれました。そのワインはエジプトにも渡ったり、クレオパトラはこの芳醇なグルジアワインをこよなく愛し、グルジアワインを傾け涙したと伝えられ、グルジアワインは「クレオパトラの涙」とよばれるようになりました。

グルジアの原種のブドウはサペラヴィ種、アレキサンドリ種など他の国ではみられない固有種として今に伝えられています。

キンズマウリ
アラザニ川中流の北岸に面したクヴァレリ地区の厳選されたサペラヴィ種を100%使用したグルジアを代表する名品で、濃いルービー色のやや甘口の赤ワインです。古いオーク材の樽で1年以上熟成され、その芳醇な香りと味覚は旧ソ連邦時代クレムリンで振る舞われ、英国のチャーチル首相が絶賛しました。  お土産にこのキンズマウリを購入しました。(約980円)

白、赤両方とも試飲しましたが、どちらも甘口に感じました。

              

この後グルジアでこの旅行の最後のお食事をした後、ソロラキの丘に向かいます。街が一望できるパノラマウオークです。
          

トビリシの街が一望できます。素晴らしい眺め!

歴史ある街に近代的な建物も調和よく建っているのが見えます。
          

          

グルジアの母
町のシンボルになっている像がソロラキの丘の上に立っています。右手に剣、左手にワインの杯を持っています。敵が来れば剣で戦う誇りをもち、友が来ればワインで歓迎するというシンボル的な意味があるそうです。
                    
                       ナリカラ要塞跡
          

          

          

                    あまりに近すぎて全体が写りません。
          

グルジア母の像からあるいてナリカラ要塞へ。5世紀にトビリシを守るための要塞として建立され、その時代の街中の人々が中に入ることができるくらいの広さだったそうです。現在は要塞内に聖ニコロズ教会が建てられているそうです。
                    博物館のような建物
          

直ぐに再び街が一望できるパノラマコースになります。
          

タツミンダの頂上に向かってケーブルカーが上がってくるのが見えます。
          

眺めの良い丘から、今度は下って行きます。そこかもトビリシの美しい景色が望めます。
          

ナリカラ要塞
旧市街を見下ろす高台に位置する4世紀から5世紀頃に建造された要塞。その後も改築が繰り返されましたが、19世紀に火薬庫が爆発して建物の大部分が失われました。現在、敷地内に聖ニコラス教会があります。

大きな石の壁と教会があるあたりが丘の終点で、ここから旧市街地に降ります。
                       石の壁はナリカラ要塞跡
          

ドーム型のハマム(浴場)が見えます。
          

          

丘を下り、ハマムに向かいます。

          
          

ハマム(硫黄温泉大浴場)
17世紀からある硫黄温泉の大浴場です。フランスの小説家アレクサンドル デュマやロシアの詩人プーシキントビリシを訪れた折に温泉を楽しんだそうです。
 
浴場は2種類あります。一つはドーム型、もう一つは青色のモスクの形をしたオルベリアニ浴場です。

ハマムとはグルジア語で蒸し風呂のこと。一帯に残る17世紀以来の浴場は今はいずれもサウナではなく、浴槽での入浴が主です。水着は着けないそうです。古い浴場についている名前は、多くがかつての所有者の名前だそうです。

            青いタイルが美しいモスクのようなハマムのオルベリアニ浴場
          
                          ドーム型のハマム
          

トビリシにはかつて66ものハマムがありましたが、現在は6つだけだそうです。
          

いよいよコーカサスの旅ともお別れです。

流暢な美しい日本語でガイドしてくださったマリア様のような雰囲気のタムナさんともお別れです。

たった10日間でしたが、コーカサスの壮大な山岳風景、トビリシやバクーなどの歴史ある大都市、アルメニア教会やグルジア正教の荘厳な大聖堂。
悠久の歴史と広大な自然の中に身を置いた10日間でした。

20時5分発のカタール航空でドーハを経由して 帰国の途に就きます。
          

成田到着予定は翌日の19日の夕方です。
          
(飛行機の写真は山口県から参加者されたKさんが送って下さった写真を使わせて頂きました。)


今回の旅は途中ほんの少し雨に降られたものの、見学時には支障がなく、5月のコーカサスはベストシーズンでした。

ベテランの脇田添乗員さんはじめ、ツアーのお仲間にも恵まれ、とても楽しい旅が出来ました。


     クラブツーリズム主催
     アゼルバイジャンアルメニアグルジアコーカサス3か国の旅10日間(参加者23名)
                               旅行期間:2013年5月10日〜19日