ベネルクス三国の旅 5日目 前編  ベルギー(アントワープ)

朝食後宿泊地ブリュッセルのホテルからアントワープに向け出発。
ブリッセルからアントワープまでは55㎞。バスで約1時間。

アントワープも15世紀後半に水運を利用して毛織物交易の中心として発展しました。又ダイヤモンドの取引の町としても有名です。

17世紀に活躍した画家、ルーベンスの生地で、最近はベルギーファッションの流行発祥地としても注目を浴びています。

人口50万人の町ですが、建築物の宝庫でもあり、中世の歴史的建造物からアールヌーヴォー様式の建物、現代を代表する建築家リチャード・ロジャース設計によるアントワープ裁判所まで、さまざまな美しい建物を見ることができます。

ティーン城
シュヘルド川沿いに、スティーン城があります。
ティーン城は10〜16世紀の間に使われた要塞とのことですが、牢獄だった時期もあるそうです。
          

ティーン城から歩いてすぐマルクト広場があります。

グロート・マルクト広場
後ろに見えるのはギルドハウス

ブラボー像 ジェフ・ランボー作(1887年)
広場は市庁舎を始め、数々の"ギルド"(組合)の建物が連立する建物の中心にあり、そこにブラボーの像が立っています。

昔この地にはスへルデ川を支配していたアンティゴーンという巨人がおり、いつも船乗りたちに高額な河川の通行料を押しつけていました。払えない者がいると、罰として船乗りの手を切り落としては川に投げ込んでいたのです。そんな悪事を止めさせたのが古代ローマ人の英雄シルヴィウス•ブラボーでした。勇敢にもひとり巨人に立ち向かい、反対に敵の手首を切って川に投げ込み退治をしたのです。 一節にはAnt(手)werpen(投げる)という意味からもこの昔話がアントワープの地名になったとか。
          


アントワープ市庁舎
ユネスコ世界遺産ベルギーとフランスの鐘楼群」は、両国合わせて56の鐘楼が登録されています。ベルギー国内は32ヵ所です。アントワープではノートルダム大聖堂と市庁舎が世界遺産に登録されています。
                    1561年〜1564年に建造されたルネッサンス様式。
          

          

            フルン広場に立つルーベンスの像  後方にノートルダム大聖堂
          
広場では沢山のお店が市を開く準備をしていました。
          
早く着いた為、ノートルダム大聖堂はまだ閉まっています。一旦周辺の見物を先にして、再び戻ってきてから内部を見学しました。教会が開くまで、添乗員さんが時間をつなぐため一生懸命説明をして下さいました。
若くて可愛い添乗員さん、下調べをきちんとしていて、一部ガイドさんの役目もこなしていました。

ノートルダムとは
ノートルダム教会ノートルダム寺院ノートルダム大聖堂は、聖母マリアに捧げられ、名付けられた教会堂です。ノートルダム はフランス語で「私達の貴婦人」という意味で、聖母マリアを指しています。ノートルダムを冠した教会堂は世界各地のフランス語圏の都市に建てられてきました。

ノートルダム大聖堂

塔の高さは123m。 1352年から1521年まで、約170年もの歳月をかけて建てられました、ネーデルランド(ベルギー北部とオランダを合わせた地域)で一番大きなゴシック大聖堂です。
世界遺産ベルギーとフランスの鐘楼群」のひとつとして登録されています。
          

入口右手にある大聖堂の建築家の1人、アップルマンスと石工たちのブロンズ像。
          

いよいよ教会に中に入ります。

この教会にはルーベンスの作品4点があります。

17世紀の傑作4点のうち3点は初めからこの大聖堂のために描かれ、もう1点はナポレオン時代の後に大聖堂に置かれるようになったといいます。残念ながら今回「キリストの復活」は実物は見ることが出来ませんでしたが、ルーベンスのみならずこの聖堂に有る素晴らしい作品の数々を鑑賞することが出来ました。
              大聖堂の代表的な芸術作品の展示場所が示されているパンフレット
                             

数字は展示場所
                 1  ルーベンス 「キリストの昇架」 (1609-1610年)
この「キリストの昇架」はもともとは聖ワルプルヒス教会の主祭壇の為に描かれたものです。
ルーベンスはこの「キリストの昇架」を描くにあたりイタリア芸術を手本としました。主祭壇をはさんで対を成している「キリストの降架」と比べるとキリストの刑と言う出来事における順序と同様,その製作年も「キリストの昇架」の数年早く描写のスタイルも両者の間には違いが見られます。

フランダースの犬」で主人公ネロが最期に見たのがこの絵です。
          

          

                   6  ルーベンス作「キリストの降架」(1612年) 
世界的有名な三連祭壇画は大聖堂内の射手ギルドの祭壇の為に描かれました。このギルドの守護聖人、イエスを肩に乗せ川を渡る聖クリストフォロス(キリストを担う者という意)は左側パネル裏に描かれていますが、その他のパネルに描かれている人々も全てキリストを担う者たちであり、それにより聖クリストフォルスを暗示しています。
          

                     3 ルーベンス 「聖母被昇天」(1626年)  
教会参事会の長老ヨハネス・デル・リオ(この祭壇の費用を支払った人)がルーベンスと新しい祭壇製作の契約を結んだのは1619年でしたが、実際に着手されたのは1625年ー1626年の事でした。祭壇作成にかかる大部分の作業はこの場所で行われました。

今私が立っている所にルーベンスがいたと思うと感慨ひとしお。

「聖母被昇天」は、ネロが初めて出会った絵です。アニメーションにおいて彼が天に召されるシーンで画中の天使が彼の周りを舞う演出ががあります。 
          

上昇していくマリア様の微笑み。 中央祭壇を飾るのにふさわしい絵です。
          

                    5 ルーベンス「キリストの復活」(1612年)
ルーベンス作「キリストの復活」残念ながら工事中で本物は見ることが出来ませんでした。

アントワープの有名な印刷工,プランタン・モレトゥス家のヤン・モレトゥス、マルティナ・プランタン夫妻の墓所の為にルーベンスによって描かれた祭壇画です。中央パネルにはキリストの復活、左右のパネルには夫妻の守護聖人(洗礼者ヨハネと聖マルティナ)が描かれています。
          

作者ルーベンス(1577〜1640年)はアントワープ(フランドル地方、現在のベルギー)を主な根拠とし、宮廷画家・外交官として活躍しました。
画家としては自らの工房を持ち1500点もの作品を手がけました。ですからすべてを自らが描くわけでなく工房の画家に手伝わせていました。
外交官としてはイギリス・スペインの和議の成功によりそれぞれの王から騎士の位を授けられています。人生においても圧倒的な成功を収めながらも、彼は優れた人格者であったといいます。まさに天才ですね。

観音開き式に開閉する三連祭壇画は裏の絵を鑑賞することも興味深いものがあります。
                 

                        

 素晴らしいステンドグラスの数々          ベルギーを代表するもっとも優美なオルガンの一つ
                                  シュヘイヴァンオルガン(1891年)           
            

                        説教壇(1713年)
この説教壇はもともとはヘーミクセムにある聖ペルナルドゥス修道院の為に製作されたものですが
1803年に大聖堂が買い取り、以来ここに置かれています。支柱と桶のような形をした檀の装飾は
神の言葉を全世界に広げると言うことを意味しています。バロックの美しい教壇です。
          

         

大聖堂内の素晴らしい作品の数々を、ゆっくり鑑賞したくて、自由時間は広場で行われている市には行かず、ずっと聖堂内を見学していました。
何時間あってもこれらの作品を鑑賞するのには足りません。

アントワープノートルダム大聖堂フランダースの犬のお話
日本ではTVアニメ「フランダースの犬」に登場する「ノートルダム大聖堂」と言うことで有名です。この物語はイギリスの作家がベルギーのアントワープで犬が荷物を運んでいるのを見て作ったそうです。1975年に日本でアニメがTVで放送されると有名になり、ベルギーを訪れる人が増えた為、日本での人気に驚きアニメを日本から購入し放映すると人気を博し視聴率が80パーセントになったそうです。
ベルギーではこの物語は「負け犬の死」と言われ、人気がなかったのですが、これを機に世界中に知られるようになったそうです。

アメリカでは『フランダースの犬』は、「こんな結末では、主人公たちが 可哀想過ぎる」という出版関係者の意向により、ハッピーエンドを迎えるように改変が 加えられているそうです。

お国柄により感性が異なるのですね。

感性と言えば ノートルダム大聖堂の前にある日本の「TOYOTA」が寄贈した「フランダースの犬」の記念碑。
う〜〜ん?この記念碑この場所にある事に、少々違和感を感じてしまいました。
                           

芸術を鑑賞して心豊かになった後はアントワープを後にブリュツセルに戻り、市内観光、そしてヨーロッパ最大のバラ園シント・ピータース・レーウでバラの鑑賞をします。