イスラエルの旅  4日目後半   メキドへ  ユダヤ人の休息日シャバット

ハルマゲドンの舞台メギドへ
聖書ゆかりの遺丘群-メギド、ハツォル、ベエル・シェバ(2005年世界遺産登録)

メギド遺跡観光
メギド山はテル(丘)になっていて古代の遺跡が29層になって積み重なっています。神学的、歴史的、地勢的な理由で古代においてメギドは有力な都市国家でした。
メギド山は「ハル(山の意)・メギット」といって新約聖書ヨハネの黙示録に最終戦争が起こる舞台とされています。それ故「ハルマゲドン」の語源になっているのです。
ここは7000年の歴史があります。
4000年前の青銅時代の遺跡はほぼそのまま残っています。

先ずはメキドの丘の当時の街を復元した模型でこの遺跡の説明を受けます。古い時代の街の上に新しい街を建てる方式で、何層にも積み重なっている事が解っているそうです。
          

ソロモン王の城門・遺跡の層・青銅器時代の遺、宮殿跡・生贄の台・食物倉庫の跡・厩舎の跡が残っています。
                       
                         当時の街の城門跡
          

          

                         竪穴式の穀物倉庫跡。
          

                         当時の馬小屋の跡
          

水源は街から少し離れた所にあり、水源から街までは水道トンネルが通っています。

深く掘られた地下水道の坑道竪穴。階段の上がり降りが多く、約200段もの下り階段は隙間から下が見え、
高所恐怖症の私は少々怖かったのであります。
                         坑道の出口に向かいます。
          

          

メキド遺跡の見学の後エルサレムに向かいます。

イスラエルは、周囲を海で囲まれている日本と違い、多くの国に囲まれています。
北にレバノン、北東にシリア、東にヨルダン、南西にエジプトと接しています。また、国土の西側は地中海に面し、ヨルダンとの国境付近には、世界的にも有名な、高濃度の塩湖の死海があります。南端は、紅海に面していて、冬でもダイビングが楽しめるそうです。

日本の四国より少し大きいという国土は、南北に470メートルと長く、東西に135メートルと狭いのが特徴です。細長い地形の中に、標高差もあり、首都のエルサレムは標高835mですが、車で1時間走ったところにある死海は、海抜下398mになります。
国土は小さいながらも、多様な地形を持つため、気候は複雑です。南部のネゲブ砂漠は、高温乾燥の砂漠気候、中央部の山や渓谷は、冷涼な高山気候、地中海沿岸の平野は、温暖な地中海性気候です。

国境線をなすヨルダン川から死海の低地は紅海を経て東アフリカの大地溝帯に続きます。
                         
                     面白い地形が広がっています
          

                   ヨルダンとの境には鉄柵が張り巡らされています
          

シャバット
この日は12月6日金曜日です。ユダヤ教のシャバット(安息日)に当たります。安息日は金曜日の日没から始まり、土曜日の日没に終わるのです。その間、一切の労働や創作活動は休むことになっており、バスの運行や車の運転も休息することになっています。ユダヤ教徒だけがその戒律を守るわけです。

聖書の中の「創世記」に「こうして万物は完成した。神は第7日目にその仕事を完成し、休まれ、その日を祝福された」という箇所があり、モーゼの十戒の中にも「安息日を守れ」とする記述があるところから、この日は歴史を通じてずっとユダヤ人の生活の重要な一部になっているそうです。

安息日の過ごし方は現在では宗派によって違っていて、金曜日の日没を過ぎると、食事のための煮炊きをしない、電話に出ない、車を運転しない、テレビをみない、エレベーターに乗らない、一切の労働をしないなど、厳格に安息日の教えを守っている正統派や保守派の一部の人たちもいれば、世俗派(改革派)もいます。現在はどれにも属していない人たちもいて、通常と変わらない生活をしている人もいるようです。

宗教的でない家庭でも、シャバットには家族で共に集い、共に食事をし、共に語らい、ユダヤ人固有の伝統が伝えられています。親しい友人や知人を家庭に招待するのも、シャバットの過ごし方の楽しみとなっているそうです。

ガイドの朋子さんの夫はユダヤ人。朋子さんはイスラエルに住んで20年だそうです。
世俗派に属するそうですが、安息日は家族でともに食事をし、ゆっくりと過ごすことが多いそうです。
安息日の家庭内の話題は芸術のこと等を話し、決して悪口や不快な話題は言わないそうです。
旅行中ずっと私たちに付き添って下さっていたのですが、エルサレムに住む朋子さんはこの日夕方私たちを
ホテルに案内すると、家に帰りました。すでに夕食の準備も済ませているようです。

ユダヤ人と結婚している日本人にとっては 少々大変なシャバットでしょうが、
毎週リセットでき、新たな週の始まりを迎えることが出来るのは良い習慣かもしれません。

アラブ系イスラエル人、キリスト教徒はシャバットには左右されません。

町は金曜日の日没近くには車の量も少なくなりました。
            
安息日に運転をしない人たちは、ユダヤ教会に車で行く事はできません。正統派や保守派の多くは、教会に歩いていける距離に住んでいるそうです。
         

イスラエルのホテルには安息日用のエレベーターがあり、この日は安息日の伝統に従い生活をしている宿泊者が自分の降りる階のボタンを押さないですむように(ボタンを押すという動作は「労働」として考えられるのだそうです)各階停車になっているものもありました。

宿泊するエルサレムのクラウン・プラザというホテルはとてもデラックスです。
このホテルのエレベーターもシャバット用があり、4基あるうちの2基が各階停車でした。
          

日没までに準備されたホテルの夕食ですが、決して冷たいものだけでなく温かいものも用意されていました。

夕食の時珍しい光景を目にしました。お隣のテーブルは、シャバットを楽しむ40人ほどのおしゃれをした親族の集まりです。長老のような男性がパンを切り分け、場を仕切ります。長老に合わせ何曲も皆で歌いお食事を楽しんでおられました。

ホテルの朝食の料理なども前日に調理されたものが出されるようですが、明日はどんな朝食を頂くことになるのか・・・・・。