防衛大学校見学と横須賀軍港クルーズ

昨日「防衛大学と横須賀軍港クルーズ」のツアーに参加しました。

今回はそのツアーの中の防衛大学見学の様子をご紹介をします。

集合場所の新丸ビル前に行くと、いつもバスツアーの参加者は女性が多いのですが、今回は男性が多い。
参加者は29名。いつもは参加者の参加理由などは気にならないのに今回ばかりはとても気になります。

私の参加理由は、なかなか見る機会のない場所を見学したい。それに、防衛大学も、軍港も、いろいろな意味で関心があるから、とそれだけの事。
昨年TBSで放映されたドラマ『空飛ぶ広報室』をはじめ、最近このようなツアーの宣伝が多くなっているように感じることもとても気になるところです。

防衛大学校三浦半島南端の標高85mの小原台にあります。バスが小高い丘を登って行くと正門と本部庁舎が見えてきました。
         

敷地は約65万㎡もあるそうです。

正門で身分証確認の後見学が始まります。
案内して下さったのは、きりっとしたとても美しい陸上自衛隊2曹の女性とガイドの女性。

防衛大学は幹部自衛官を目指す学生が4年間学ぶ全寮制大学です。管轄は文部科学省ではなく防衛省
防衛大学校学生は防衛省職員という形で国家公務員扱いとなります。入学金や授業料は無料、食事、一部被服や寝具なども支給されます。また学生手当として月額108,300円、賞与(6月と12月)が年額319,000円支給されます。(2012年4月1日現在) 学校を卒業した後は、国家公務員Ⅰ種と同レベルの平均年収がもらえるようです。
案内して下さった自衛官に伺うと、入学時約500人の生徒のうち、4年間で約100人の脱落者が出るそうです。やはり厳しい学生生活なのですね。

まずは本部庁舎へ。

学生たちの生活をパネルを見ながら説明を受けます。この大学は成績だけでなく、体力精神力もないと大変だと感じました。例えば一日かけて泳ぐ8キロ遠泳、昼ごはんとして途中で乾パンを、泳ぎながらを食べるそうです。
  
            
本館床にはにはこの学び舎で学生が心に置くべき言葉が刻まれていました。
「礼節」(PROPRIETY)、「真勇」(COURAGE)、「廉恥」(HONOR)
         
本館、中央のガラスには校章が
         
在校生の国旗が10本飾られていました。9か国からの留学生が学んでいるそうです。
         
次に記念講堂
入り口にステンドグラス「若人の城」があります。これは、平成14年2月、防衛大学校創立50周年の際に防大同窓会から寄贈を受けたもので、原画は、日本画家の平松礼二 先生の作です。守るべき対象である日本のシンボルとして富士山、陸・海・空を示す「咲き誇る桜」「金色に輝く海」「紺碧の空」を描き、全体として国を守る若人の城としての小原台(大学の所在地)を表しているとのこと。花弁は約2000枚で、防大生の数を表しています。
         
卒業式で卒業生が帽子を投げる様子をニュースで見たことがありますが、その場所がこの講堂です。
帽子を投げて走って退場、その後帽子はどうなるのでしょう。
その答えをガイドさんが教えてくださいました。下級生が拾い集めるそうです。
帽子をはじめ制服は借り物なので「返納」しなくてはならないのです。
         
講堂見学の後外にでると

時計台のように見えますが、給水塔です。
もちろん本来の目的プラス時計台も兼ねています。
塔の上から物を落として落下衝撃実験なども行われるそうです。

この地面の下には63万冊の蔵書がある図書館です。          
         
このモニュメントは武を象徴する兜に、譲るべき日本の象徴日輪を戴き、学問を表す羽ペンを飾り、文武両道の追及を表現し、兜を礼、恥、勇と陸、海、空の三本が支えている造形です。
          
今回のツアーでは、移動をしている学生の姿しか見ることはできませんでした。
見学者にも挨拶などをする礼儀正しい学生さんたちでした
でも、戦争に行った若者たちの姿を連想してしまい複雑な気持ちになります。

ツアーの参加者の中に、学校を休んで見学に来た小学生とお父様の姿がありました。
防衛大学のこと、自衛隊の事、軍艦の事などとても良く調べているしっかりした男の子です。
将来防衛大学進学が希望のようです。まだ小さいのにどのような経緯で興味を持ったのでしょう。
         
資料館にも立ち寄りました。こちらは撮影禁止です。
まず防衛大学の歴史、教育訓練、地理的環境、歴代主要職員、教育・研究活動等の紹介のビデオが放映されました。 とてもカッコ良い「儀仗隊」の姿も上映されます。ほれぼれしてしまいます。

このような姿を見たら憧れる人も出てくるでしょうが、自衛隊という組織の本質を十分に調べて入学判断してほしいなと感じました。

資料館には陸・海・空各自衛隊の将来の幹部自衛官を同じ環境で教育訓練し、自衛隊へ進んだ卒業生が日本と世界の平和を支えるというこの学校の理想を表現するシンボルが展示されていました。

最後に売店へも寄りました。
防衛大学校グッズがたくさんありました。

敷地にはこのような装備品が飾られていました。
  
             
         
防衛大学校では2年進級時に陸海空どこに行くか決まるそうです。
どのように決まるのかを伺うと、適正、成績などだそうです。

防衛大生は卒業と同時に幹部候補生曹長に任命され、「幹部候補生学校」に進みます。(この学校は陸は久留米、海は江田島、空は奈良にあります)。幹部に必要な技能の修得、訓練などの実務教育はそれぞれの段階で、陸海空、各自衛隊が教育を実施するシステムになっています。「幹部候補生学校」は、その第一歩です。「初級幹部」、「中級幹部」の養成学校としては「職種学校(陸)」などがあり、更に、「幹部初級過程」、「幹部上級過程」があります。それ以上の教育には「幹部学校」などがあります。幹部学校は、昔でいう陸軍大学、海軍大学に相当し、高級幹部への道が開けるわけです。「幹部」と一口で言っても、いろんなレベルの幹部があるわけで、自衛官全体の幹部養成の教育体系から言えば、防大は入り口に過ぎないようです。

この後昼食に横須賀名物海軍カレーを頂き、その後日露戦争において活躍した、記念艦「三笠」の見学。そして、『横須賀軍港クルーズ』では 軍港の歴史やエピソードなどガイドの説明付きでアメリカ海軍第7艦隊
海上自衛隊の艦船基地を真近に見ながら横須賀の港を周遊。

今まであまり知らなかった世界をほんの少し垣間見ることが出来た1日でした。