節分  鬼問答・福の神の舞

今日は節分。お散歩がてら喜多見の氷川神社の節分祭に行きました。 

社殿では祝詞奏上の後、「鬼やらい」の神事が行われます。
この神事は「鬼問答」と「大国舞」「恵比寿舞」との一連の迫儺神事です。
とても珍しく貴重な民俗行事として世田谷区より無形民俗文化財に指定されています。

境内に入ると豆が渡されました。豆まきを皆で一緒に行うのです。
                 

神主さんたちの祝詞奏上後、 太鼓の音がしていよいよ鬼がやってきます。

怖がっているお子さんもいます。

鬼は赤・青・白・黒の4人です。

なぜ鬼が4色?なのでしょうか。実はこれは陰陽五行の思想からきています。
五行を五色にあてて、中央を黄色、「東・西・南・北」をそれぞれ「青・白・赤・黒」とし、自分の住む
中心以外を野蛮なものとしたのだそうです。

さあ鬼問答の始まりです。
          
鬼は神主さんと問答をします。 
鬼   そこどけ、そこどけ・神前に飛び上がり 鹿杖にて床を叩く

迫力満点です。

        

神官 -両手を広げて 鬼が神殿に上がるのを防ぎ・・・
不思議なるものみえて候、何者ぞ、名のり候らへ、早く名のり候らへ、
鬼  それがしに候か?
神官 早く名のり候らへ、
赤鬼 見るも、聞くも、そら恐ろし、それ、赤き息 ほっとつけば、七日七夜の病となる。
青鬼 それ、青き息、ほっとつけば、疫病となる。よって節分毎に、まかりいで,人の命をねらい候。
  鬼は内と、声がした、よって、まかりいで候
一同 言わぬ、言わぬ、

        

鬼  腹ぺこだ、腹ぺこだ!
神官 悪しき鬼どもだ、おのが住家にあらず、もとの山へ帰り候らへ。
鬼にスルメを与えます-

        

一同 それ追い出せ! 鬼は外、鬼は外
神主さんが桃の弓と、いり豆で鬼を追い払います。
        

私達も一斉に鬼は外と豆を投げます。

  ゆるさせ給へ、と叫び、追儺の豆つぶてにて逃げる

鬼が逃げた後、今度は皆で一斉に東の空高く、「福は内・福は内」と豆を撒きます。
すると福の神様の行列が社殿へ進んでこられます。

福の神の舞
神前で「恵比寿舞」が舞われ、大きな鯛を釣り上げて、にっこり恵比寿顔をつくられ、引き続いて、大国様は祝詞を奏上し、小槌から皆様に宝を授け、目出度い舞を舞い納めます。

        

        

囃子・大拍子の調べにのって、福の神、四方固めの祝い「上の舞」を舞います。

草も木も 我が大君の国なるゆえ いづくに悪鬼のすみかなるらん
出雲の国の大国主命 このところにて、ひとさし御舞ずるにて候
大八しま つくりかためし大国主命 いもせを結ぶ福の神 いでや宝をまいらせん

ひとつ ひろったその豆で  
にで  にっこり恵比寿顔
さんに 杯飲みまわし
よっつ 世の中良さように
いっつ 出雲の大社
むっつ 無病息災に
ななつ 何事なきように
やっつ やたらに徹き散らし
ここのつ 子供に、拾わせて
とうで 当氏子中の皆様に本年の宝を授け申す

それぞれが祝い詞を永々と述べ踊り 最後に大黒様が小槌を振って中からでた福銭(五円玉)を参拝者に撒きました。

        

私は五円玉が直撃すると怖いので、遠くから眺めるだけにしました。

境内ではみかんと甘酒がふるまわれました。

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豆知識
何故節分には豆をまくのでしょう。
日本では昔から穀物や、果実には「邪気を払う霊力」があると考へられていて、豆を蒔くことで豆の霊力により邪気を払ふということなのだそうです。

豆まきの起源は平安時代の方違えの中の豆打ちです。平安時代には節分の日に翌年の恵方にある家に宿を取る風習があったのだそうです。それが時と共に簡略化され、家の中の恵方にある部屋に移るという形式になり、移る部屋に入る前に豆を撒いて邪気祓いをするようになったと言われています。

煎った豆をまく理由
いくつかの謂れがあるのですが、一つには豆というのが魔目(=鬼の目、音=まめ)と同音というところから豆=鬼という考え方があり、豆(魔目)を炒ることで鬼を退治したというもの。
そしてもう一つは陰陽道で使う五行の相関関係に起因しているというもの。五行というのは木火土金水と自然界の相関関係から発生している考え方でお互いに助けあう関係と殺しあう関係というのがあります。
この中にある火と金の関係と豆と鬼が関係あるのです。火というのは金属を溶かす為、金にとって怖い相手。そして鬼というのがこの金グループに属することから火に属する豆で鬼を退治するとなったという謂れ。

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節分が終わると、暦の上では春です。何だかうきうきします。