こんにゃく印判

今日も小皿の続きです。

手持ちの小皿の中でとても気に入っているものがあります。
こんにゃく印判の薄手の上品な小皿です。

こんにゃく印判と言うと、こんにゃくで型絵を押されたと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではなく やわらかい動物の皮などを使った判と言われています。でも実際ははっきりわかっていないのです。コンニャクを彫って作った判で押したような雰囲気をかもしだしているということで名付けられた印判手法なのです。

印判磁気は量産が出来ると言われ、比較的安価で、図柄が豊富です。
ただし、印判にもいろいろ色々あります。こんにゃく印判は現在ではなかなか手に入りにくく、決して安価とは言えません。

印判には次の4つの方法があります。
1.こんにゃく印判

2.型紙摺り 絵布染めなどに使われる型紙を使い、プリントする技法です。柿渋のようなもので防水処理をした紙に文様を彫り、それを作品に押し当てて、上からブラシで染料をこすりつけて絵柄を出す技法です。江戸の元禄時代からある技法です

3.銅版転写 銅版画の技法、エッチングの技法を応用した技術です。松ヤニをあぶりつけた銅版に絵柄を削り付け、それを腐食剤に浸し、腐食させた版に大量に化学的に生産されていたベロ藍(当時大量生産され安価になった化学呉須であるベルリン藍がなまった言葉)を使い、銅版から紙に絵柄を転写してそれが乾かない内にさらにまた器物に押し付けて転写する方法で作られました。

4.ステンシル  紙摺吹墨紙摺吹墨 これは2番目の紙型に、染料を吹き付けて文様を出す技法です。この技法は古く、中国明末期の景徳鎮で始められました。吹墨の技法といわれる技法と同じです。印判磁器は明治時代に文明開花のシンボルとして板ガラスとともに政府が力を入れて推し進めたものでした。それまでは大衆の間には浸透してなかった磁器が、一気に広がりました。

染付紅葉葉松葉散文皿  
江戸時代 長径7cm
さて、私のお気に入りの小皿 (豆皿の部類に入るかもしれない大きさです。)
色具合、図柄、 薄手の作り、何とも言えない品の良さです。

          

          

印判は大量生産と言われていますが、このこんにゃく印判は丁寧にコンニャク判を押してから、手書きで松葉を描いています。

コンニャク印判の作品は、このように判を押してから手書きで付け加えているものが多く
とても丁寧に作られたものも多いのです。
印判は量産と言われますが、コンニャク印判は量産されたのでしょうか。
何とも穏やかな雰囲気のコンニャク印判は探しても、数が少なく,あっても高価なのです。
もしかしたら当時から量産されてなかったのではないかと、骨董屋めぐりをしていて感じることです。

もう一枚のコンニャク印判
もう一枚コンニャク印判と言われる小皿を持っています。

染付草花文皿
江戸時代 径7.2㎝
今までご紹介した小皿豆皿は平凡社から出ている(別冊太陽)小皿豆皿に掲載されたものばかりですが、これもコンニャク印判と紹介されました。1枚目にご紹介したものと少し雰囲気が異なります。私のイメージのコンニャク印判とは少し違いますが、可愛い小皿です。

          

          


20年ほど前の骨董屋さんには 沢山の女性のお客さんが来ていて、1枚のお皿の絵についても、あーでもないこーでもないと話が尽きないことが、度々ありました。
お店であった見知らぬもの同士が、お昼を一緒に食べに行き、テーブルセッティングの話等に花が咲き、再びお店に戻ると言う楽しい時間がありました。

今は不景気なので、お客さんも少なく そのようなこともなくなりました。

だんだんゆとりのない世の中になったような寂しさを感じます。